these foolish things

Prejudice and Fiction

手に負えないね

 

年末といえば硬貨貯金の決算が個人的な一大イベントである。

キャッシュレス化が進み現金を使用する機会が減りつつあるものの、新中野武蔵家に代表されるような古きを良しとするお店においては依然として現金決済が求められる。

現金決済が求められる場合、基本的には紙幣を使用して、お釣りの硬貨は自宅の貯金皿にプールするのがマイスタイルである。年末にはそのお皿を預金口座にひっくり返して紙幣に戻し、幾分かリッチな気持ちを味わうのである。

 

今年の決算は従来と一味違った。来年の自分への備忘録として記しておきたい。

 

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激震である。脳が震えた。

大手銀行が軒並み硬貨入金に手数料を課すようになったのである。たとえば、窓口で1円玉を1000枚預けようとすると手数料が1100円発生する。並のルールではない。

それならATMでのセルフ作業ならお手数もおかけしないのだからお手数料も発生しないのではないか。半分正解であった。平日ならたしかに無料でATMを通じて預入できるようだが、平日は働いているので無理だ。また、大量の硬貨預入を控えるよう硬貨入金口のうえにラミネートされた紙が丁寧に貼られているケースが多い。通報されかねない。

したがって、銀行での硬貨入金は実質不可能という調査結果を得た。

 

納得いかないので足と頭を使った。

縁のないパチンコ屋、火の中、森の中、幡ヶ谷商店街、サンデーベイクショップ。普段フォーカスしない箇所に目をやりながらのお散歩は楽しいもので、いつもの町の景色が変わる。

 

そこで見つけたのは幡ヶ谷駅PASMOチャージ機である。漏斗式の硬貨投入口、モバイルPASMO対応のチャージ口、預金ではなく電子マネーでいいやという諦念、諸々が揃った。


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こういう不審な行為をしている最中はキョドってはいけないので淡々とこなしていった。しかし、チャージ機が詰まり、エラー音が響き、情けなくも普通にキョドってしまった。駅員が突然壁越しに現れて然るべき措置を施してくれた後、空気の重さに耐えかねて場を離れざるを得なくなった。

 

ちょうど次の予定の待ち合わせ場所が丸の内だったので、約束の時間まで丸の内周辺のPASMOチャージ機を片っ端から探し、ようやく見つけ出した。新丸ビルB1直結のチャージ機である。

自分の足で探してみて気づいたのだが、モバイルPASMO対応のチャージ機は本当に少ない。ほとんどのチャージ機は物理カード対応であり、わずかに存在するモバイルPASMO対応のチャージ機もほとんど紙幣入金のみ対応で硬貨入金は非対応なのである。モバイルPASMOに硬貨入金するバカなどいないので当然ではある。

 

結果、4万円ほど硬貨貯金ができていたようで、年末の私はたいへん気分が良い。このままサンデーベイクショップに行こうと思う。