these foolish things

Prejudice and Fiction

monthly review _'24 April

 

 

 

 

 

 

引越

身が1日早く着いてしまった岡山初日。フローリングで夜を明かし荷物を出迎えた。

20時東京搬出、翌日12時岡山搬入というイカれたスケジューリングで誰がいちばん割を食っているか。

話を聞くに、A引越業者の東京支店所属の方々が小トラックで荷受け、B配送業者の大トラックに複数の小トラック分の荷物をまとめて一晩かけて岡山まで陸送、A引越業者の岡山支店所属の方々が同時に到着して荷出し、という泥臭いオペレーションだったよう。

割を食っていたのはB配送業者だった。長年の疲労が祟ってか前歯がだいたい抜けていた。フローリングで泣き言をぬかす自分などまだまだである。いやあそれにしても船とか列車じゃないんやな。心のマリーアントワネットを叱っておこう。

 

 

 

 

 

 

 

家具

これまで家具に無頓着だった。そんな自分が間接照明に手を出し始めた。いかがわしすぎる。

すべては友達ん家の洗練っぷりにヤられたのが原因である。電気は明るければいいってもんじゃなかった。椅子は座りやすければいいってもんじゃなかった。こないだ話した元建築学徒は、部屋の隅の天井を照らすと良いと言う。訝しげな僕はまだ考えている途中。

 

 

 

 

 

 

 

 

スーツを着るときはネクタイを締めたい性分だが、オシャレは我慢とか言うてたら本当に危ないことを昨夏の越谷が教えてくれた。

とはいえタブカラーなのにネクタイをせずにタブをピヨつかせていたらビジネスシーンでは灰皿が飛んでくるので、ノーネクタイでイかしたシャツがないかしらといろいろ試していた。

たどり着いた答えは、ワンピースカラー。前立てと襟とが共生地になっていて否が応でも襟がロールする。普通とは何かが違うけど、パッと見じゃその違いが何かは分からない。灰皿を飛ばす決定打にもなり得ない。ボルサリーノは被ったことはないが、ボルサリーノ被る感覚と似ている気がする。着ている人をなかなか見かけないので、まずはチーム友達へ布教していきたい。契り!

 

私服はもっぱらヘインズ。サイズはXLからMへ。回る回るよサイズ感は回る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風呂

岡山の温浴施設は数が限られており、特定のスーパー銭湯に市民がうじゃうじゃ集まるようになっている。僕も例に漏れずそこに行くしかない。ただ、施設としてのクオリティはなかなか良い。流山市のスパメッツァに近からずも遠からず、といった具合。

ただ、コロナ禍の黙浴文化を通ってきていない若い層が多くて、絶えずうるさい。こないだは旧約聖書を引用しながら神学を議論するチー牛4人が仲良く壺湯に入っていてDOPEだった。もはやちょっといろいろ教えてほしかったわ。

毎度うるさいなーと思いながら入っているわけだが、江戸時代の絵にもあるように本来は銭湯ってコミュニケーションの場であるはずで、3年ちょっとの黙浴文化ドップリニキの方が異端なのかもしれないな、と。異文化の受容って体力使うわ。この先に移民問題がカクカクシカジカなんだろな。

 

 

 

 

 

 

 

友達

東京でできた友達が京都の実家に来た。京都にいたのは非納税者の頃までなので、飲食店だの服屋だのはあまり良く知らない。だからむしろよそ者の方がよそ者でなかったりする。

おかげさまで自分の知らない京都をたくさん知れた。まず一乗寺エリア。一乗寺なんてラーメン屋以外は荒野やろと思っていたが、老舗の蕎麦屋があった。それがまたヤバかった。Tシャツやら、手書きメニューをプリントした手ぬぐいやらを自分たちで作って売っていたり、なかなかストリートなやり方をしていた。四条木屋町下ルにSUBAができたが、あれはストリートヒッピーが蕎麦をやってるだけ。一方で今回行った方は蕎麦屋の2代目がストリートに育ってしまっただけで、魂は蕎麦屋にあるはずだし、生産者の顔と資本が見えるぶん応援したくなる。クールそのものだった。

 

エスプレッソマティーニが美味いバーも知った。アンティークじみた真空管のスピーカーからアシッドジャズが心地よく流れていて贅沢時間であった。スピーカーを手に入れたからバーを開いたのか、バーを開きたくてスピーカーを備品勘定で購入したのか、どっちか気になる。嘘でも良いから前者であってほしい。ティアモ。

 

神戸にも行った。

神戸では5年強納税していたし、京都よりは文化事情を弁えている。ただのピッツァじゃあないんだぜ言うて、例の青いピザ屋を紹介させていただいた。行くたびに自分がいちばん感動してしまうのマッチポンプなのでやめたい。ごっつぁんでした。

 

ただ、横尾忠則美術館とヨドコウ迎賓館は行ったことがなかった。

横尾忠則美術館では、Y字路作品群が一斉展示されていて、そもそもそういう作品群があるってこととその中にも変化の歴史があること、Y字路厨であることと、たまにコラージュアートのメディアに化けたりすることを知った。でもやっぱり表層的なことしか分からないのがもどかしくていつも美術館では難しい思いをする。絵に投影される歴史とか文化とか哲学とか社会構造とか、その辺まで見えてる人は見えてるんだろうな、俺は何も知らない赤ちゃんだな、俺はバブみが強いな、教育して叱ってくれってなる。

 

ヨドコウ迎賓館は、櫻正宗の酒蔵の人間がかつてのハイパー建築家フランク・ロイド・ライトに頼んで作ってもらった家とのことだった。有機的建築ダァ言うてたらしく、言われてみればナチュラルでいやらしさのない豪邸だった。その印象は何より「大谷石」に起因するものだった。あれが例えば大理石だったり安藤忠雄コンクリだった世界も見てみたいが、それだと積水ハウスか?ともなりかねない。

 

1つの絵から無数のユニバースを想起できるほどの知性の泉があればかっこよろしいが、それができないから機能性があってある意味取っ付きやすい建築物の方に心が惹かれてしまう。ライトな建築ファンであることにいつも申し訳無さを感じています、とここでペコりさせていただきます。

 

関係性が飛び地の友達ができたことで、なかなか異質な思い出ができた。この場を借りて御礼申し上げます。現金立替ありがとう。

 

 

 

 

 

 

平日

仕事をしている。中四国をあの手この手で回っている。車を運転しまくっている。

で、帰ってきたら料理を楽しんでいる。今日はマスカルポーネに黒ゴマを和えて、酸味のあるフルーツと一緒に食べたい。ポテサラに春菊と柴漬けを和えたら絶品だったのでまたしたい。スナップエンドウクリームチーズと食べるのも良い。こないだでかいタケノコが売ってたからなんか良いレシピないか探す。

そして、ちゃんと、記録を残したい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音楽

もっぱらクラプトンと宇多田を流していた。

ふたりともノンフィクションっぽいところが良いなあと。身ィ削ってんなあと。歌詞を辿らずに生きてきたことを反省して、ちょっとずつ歌詞を読むようにしているなか、私的な書きっぷりとかが分かりやすくて良い。一方でペトロールズはほんま何言うてるか分からんというか叙景詩ばっか。呑気で良いよなあ。

 

あとNewjeansの新曲を聞いて、ない記憶を作るん上手いなあと。商業ポップここにありって感じで良い。ゴーストライター山下達郎がいるとしか思えへん。

ない記憶を作るって点ではレキシも良い。TotoとかEWFをパクってますって名言はせんけど音楽で表明してるあのピエロっぷりがずっと好きや。上原ひろみを客演に呼んだり、ハンパないよなあ。